一人っ子の親の介護は抱え込まない|現役看護師の備えと対処法

親の介護は一人っ子の自分がやるしかない。そう思っていませんか?

一人っ子は、判断も責任もすべて自分に集まります。

でも、使える制度もサービスも、頼れる人もいます。一人で抱えなくていいのです。

看護師として30年以上、思い詰めた表情で悩みを話されるご家族に出会ってきました。

この記事では、介護の備え4つと介護負担を減らす対処法5つをお伝えします。

親の介護も、あなたの人生も、あきらめなくて大丈夫です。

目次

一人っ子の親の介護では、「自分しかいない」と責任や不安を一人で抱え込みやすくなります。

とくに抱えやすい悩みは、次の4つです。

親の介護悩み4つ

・「自分しかいない」と責任を背負い込んでしまう
・「私ばかり」と感じてつらくなる
・相談相手が少なく孤独を感じる
・「私の人生はどうなるの?」と将来が不安になる

医療現場で働いていると、親の介護を一人で抱え、思い詰めた表情で悩みを話されるご家族に出会います。

まずは、一人っ子が抱えやすい悩みを一つずつ見ていきましょう。

一人っ子の親の介護では、きょうだいと役割を分担できないため、「自分がやらなければ」と責任を背負い込みやすくなります。

私が医療現場で働くなかで、親の急な入院をきっかけに困っているご家族を何度も見てきました。

仕事中に病院から連絡を受けて駆けつけたり、入院後も今後の方針や退院準備のために出向いたり。そのたびに仕事を調整するご家族の姿も目にしてきました。

とくに仕事や家庭を抱えていると、親のことまで一人で考え続ける負担は大きくなります。

一人っ子は「自分しかいない」と思い詰めやすいことを、まず知っておいてください

親の介護に仕事や家庭の負担まで重なると、「どうして私ばかり」と感じることがあります。

介護する側も、仕事や家事、子育てなど、それぞれに自分の生活を抱えています。そこへ親の通院や介護が加わると、自分の時間はさらに削られていくでしょう。

私が医療現場でご家族と接していると、「これ以上、何度も会社を休めない」という声をよく耳にします。

親の通院は、受診だけで終わるとは限りません。検査や主治医からの説明、入院が必要になればその説明など、家族が何度も病院へ足を運ぶこともあるでしょう。

きょうだいがいれば役割を分担できる場面でも、一人っ子では自分が対応することが多くなります。

親を大切に思っていても、負担が重なれば「どうして私ばかり」と感じることもあるでしょう。

一人っ子の介護では、こうした負担が自分に集中しやすいことも、抱えやすい悩みのひとつです。

一人っ子の親の介護では、悩みや迷いを身近に相談できる相手が少なく、孤独を感じやすくなります。

私が医療現場で出会ったご家族のなかに、高齢の母親と二人で暮らし、仕事をしながら一人で母親を支えている方がいました。

転倒や持病の悪化で入院するたびに病院へ駆けつけ、医師から病状や治療について説明を受けます。

大切なことを決める場面でも、「頭が真っ白になってしまった」と戸惑う様子がありました。

きょうだいがいれば、「どう思う?」「これからどうしよう」と相談できることも、一人っ子では自分一人で考えなければならない場面があります。

親を支える負担だけではなく、不安や迷いを共有できる相手が身近にいないことも、一人っ子が介護で抱えやすい悩みのひとつです。

親の介護が始まると、「これから私の人生はどうなるのだろう」と、自分の将来まで不安になるでしょう。

子育てが一段落し、「これからは自分の人生も楽しみたい」と思っていた矢先に、親が倒れて突然介護が始まることもあります。

仕事や家事に追われながら、頭の中はいつも親のことでいっぱい。自分の時間が取れない日々が続けば、心も少しずつ疲れていくのではないでしょうか。

介護そのものは一人っ子に限った悩みではありません。しかし、きょうだいと役割を分担できない一人っ子は、一人で背負いやすくなります。


「この先もずっと私が支えるの?」「私の大切な今はどうなるの?」と、親の介護と自分の人生との両立に悩むこともあるでしょう。

親の介護は、突然の病気やけがをきっかけに始まることがあります。一人っ子の場合、いざというときの対応や判断が自分に集中しやすいため、親が元気なうちから備えておくことが大切です。

今から確認しておきたいのは、次の4つです。

今から確認しておきたい4つのこと
  • 親の生活や健康状態を知っておく
  • 親の希望や今後の暮らしについて話しておく
  • 親の収入と介護に使えるお金を確認しておく
  • 介護が必要になったときの相談先を知っておく

すべてを一度に準備する必要はありません。できることから一つずつ確認していきましょう。

親の生活や健康状態を把握しておくことは、一人っ子に限らず、親の介護に備えるうえで大切です。

医療現場で働いていると、昨日まで元気に過ごしていた親が突然入院し、病院から連絡を受けて慌てて駆けつけるご家族を目にします。

一人っ子の場合、「お母さんの薬、何を飲んでいた?」「かかりつけの病院はどこ?」と、きょうだいに確認することもできません。

いざというときに自分が対応できるよう、親が元気なうちから少しずつ情報を共有しておきましょう。

知っておいた方が良い情報は

親の病歴・手術歴
内服しているお薬の内容
アレルギーの有無

などです。普段から親の健康状態を知っておくと、突然の入院でも必要な情報を伝えやすくなります。

親の介護に備えておくべきポイントをまとめた記事はこちらから参考にしてください。

親の介護が突然必要に!今から備える4つのポイントを看護師が解説

親が元気なうちに、介護が必要になったときにどこで、どのように暮らしたいのかを話しておきましょう。

親の希望は、年齢や体の状態によって変わることがあります。そのため、一度確認して終わりではなく、普段の会話の中で折に触れて聞いておくことが大切です。

一人っ子の場合、いざという場面で、きょうだいに「親はどうしたかったのだろう」と相談することができません。

だからこそ、「今どう暮らしたいか」だけでなく、「今の暮らしが難しくなったらどうしたいか」まで聞いておくと、介護が必要になったときの判断のよりどころになります。

介護が始まる前に、親の年金などの収入や預貯金、介護に使えるお金を確認しておきましょう。

介護にかかる期間や費用は予測しにくいため、「一人っ子だから自分が払わなければ」と考える前に、まず親のお金でどこまでまかなえるのかを知っておくことが大切です。

公益財団法人 生命保険文化センターの2024年度調査によると、介護費用の目安は次のようになっています。

介護費用の目安平均
一時的にかかった費用47.2万円
月々にかかった費用9.0万円
└ 在宅介護5.3万円/月
└ 施設介護13.8万円/月
介護期間4年7か月

※公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」より。2人以上世帯を対象とした調査で、金額・期間はいずれも平均です。
出典:生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」

※介護保険の自己負担は原則1割です。一定以上の所得がある方は、2割または3割となります。

我が家では両親の年金額を把握し、在宅介護を続ける場合と施設へ入居する場合の費用を調べ、現在想定している範囲では年金収入の中でまかなえることを確認しています。
きっかけは、両親のほうから「もし施設に入ることになったら、どのくらいお金がかかるの?」と相談してきたことでした。

親子でお金の話をするのは難しいかもしれません。

しかし、必要になってから初めて確認するのではなく、元気なうちに年金などの収入や預貯金、介護にどこまで使えるのかを話しておくと、いざというときの選択肢を考えやすくなります。

地域包括支援センターを知っておけば介護が必要になったときすぐ相談できる

親の介護について困ったときに相談できる「地域包括支援センター」の場所や連絡先を、親が元気なうちに確認しておきましょう。

地域包括支援センターは、高齢者の暮らしや介護、健康などについて相談できる地域の窓口です。

私が医療現場で働いていると、親の緊急入院をきっかけに、初めて介護保険の申請を考えるご家族に出会います。

患者さんご家族

介護保険ってどうやって申請するの?
退院したあと、家で生活できるの?

突然の入院で親のことが心配なうえ、仕事や家庭の予定を調整しながら、初めて聞く介護制度について考えなければなりません。

一人っ子の場合、こうした手続きや今後の介護について、自分一人で調べて判断しようと抱え込みやすくなります。

そんなときに頼れる相談先のひとつが、地域包括支援センターです。

親が住んでいる地域の地域包括支援センターの場所と連絡先を確認しておくだけでも、いざというときに相談先を探す負担を減らせます。

親が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターがわからない場合は、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」や市区町村のホームページから確認できます。
厚生労働省「地域包括ケアシステム」

一人っ子だからといって、親の介護をすべて自分でする必要はありません。

介護が始まったら、「自分が何をするか」だけでなく、「誰に、何を任せられるか」を考えることが大切です。

さくら

介護保険サービスやケアマネジャー、親族や近所の人、民間サービスなど、第三者の力を借りることで、一人に集中する負担を減らせます。

一人で抱え込まないために、次の5つを考えてみましょう。

一人で抱え込まないための5つの方法
  • 介護保険サービスを利用する
  • ケアマネジャーに相談する
  • 親族や近所の人とつながる
  • 宅配食や見守りサービスを利用する
  • 在宅介護が難しくなったら施設も検討する

すべてを一度に取り入れる必要はありません。親の状態や自分の生活に合わせて、できることから一つずつ考えていきましょう。

ここから、それぞれの方法を具体的に見ていきます。

介護保険サービスを利用して一人で担う介護を減らす

介護が必要になったら、介護保険サービスを利用して、自分一人で担う介護を減らしていきましょう。

私が医療現場でご家族と話していると、親の急な入院をきっかけに「介護保険って何ができるの?」と戸惑う声をよく耳にします。

介護保険では、在宅で生活を続けながら利用できるサービスがあります。代表的なものは次のとおりです。

サービス主な内容
訪問介護(ホームヘルプ)自宅で身体介護や生活援助を受ける
通所介護(デイサービス)日帰りで食事・入浴・機能訓練などを受ける
訪問看護看護師などが自宅を訪問し、療養生活を支援する
訪問リハビリテーション自宅でリハビリテーションを受ける
訪問入浴介護自宅で専用の浴槽を使って入浴介助を受ける
ショートステイ短期間施設に宿泊し、介護や生活支援を受ける

介護保険には、ほかにも利用できるサービスがあります。親の状態や暮らしに合わせて、必要なサービスを組み合わせて利用できます。

さくら

一人っ子だからこそ、介護サービスを上手に利用して、自分でなければできないこと以外は第三者の力を借りていきましょう。

ケアマネジャーに相談して介護の悩みや判断を一人で抱え込まない

介護を続けるなかで迷ったときは、一人で答えを出そうとせず、ケアマネジャーに相談しましょう。

親の状態や気持ちは変化していきます。「今のサービスで足りているのか」「仕事をしながら在宅介護を続けられるのか」と、判断に迷う場面も出てくるでしょう。

たとえば、医療現場でも「親がデイサービスに行きたがらない」という相談を受けることがあります。

そんなときは、家族だけで説得しようとせず、

  • なぜ行きたくないのか
  • 親はどのように過ごしたいのか
  • 好きなことや興味のあること
  • 家族は何に困っているのか

をケアマネジャーに伝えてみましょう。

こうした情報は、本人に合ったデイサービスを考える材料になります。

最初は乗り気ではなくても、見学してみることで「ここなら行ってもいい」と本人の気持ちが変わることもあります。

ケアマネジャーは、本人の希望や心身の状態を考えながら、必要な介護サービスを利用できるようケアプランを作成し、関係機関との連絡調整を行う専門職です。
介護サービスの選び方だけでなく、親の介護で困っていることや今後の生活についても相談してみましょう。参考:日本介護支援専門員協会「介護支援専門員とは」

親族や近所の人とつながって緊急時に頼れる人を増やす

離れて暮らす親に何かあったときに備えて、親族や近所の方など、親の近くにいる人とのつながりを大切にしておきましょう。

一人っ子の場合、親に何かあっても「きょうだいに様子を見に行ってもらう」という選択肢がありません。とくに遠方で暮らしていると、すぐに駆けつけられないこともあります。

まずは、親が普段どのようなご近所付き合いをしているのか確認しておきましょう。

さくら

親しくしている方や、日頃から声をかけ合う方がいれば、そのつながりを大切にしておきたいですね。遠距離介護では、こうしたご近所とのつながりも備えのひとつになります。

離れて暮らす親の食事や見守りをすべて自分で支えようとせず、配食や見守りサービスなども取り入れて負担を減らしましょう。

親が一人で暮らせる状態でも、「きちんと食べているかな」「今日も変わりなく過ごしているかな」と心配になることがあります。

とくに遠方では、食事を作りに行ったり、様子を確認するために頻繁に帰省したりするのは現実的ではありません。

そんなときは、介護保険サービスだけでなく、民間サービスや自治体の支援を利用する方法もあります。

取り入れるとよいサービス

配食サービス:買い物や調理が難しくなった親の食事を支える

見守りサービス:離れて暮らしていても、親の様子や異変を確認できる

自治体によっては、高齢者向けの配食サービスを実施しています。利用条件やサービス内容は地域によって異なるため、まずは親が住んでいる自治体で確認してみましょう。

また、見守りサービスには、センサー型やカメラ型、緊急時に駆けつけてもらえるタイプなど、さまざまな種類があります。

どれを選ぶかは、親の健康状態や生活環境、家族が何を心配しているのかによって変わるでしょう。

高齢者向けの配食サービスについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
高齢者向け自治体の配食サービスとは?利用方法・補助金・メリットまとめ

親御さんに合った見守りサービスを探したい方は、こちらの記事でタイプ別に比較しています。
【現役看護師徹底解説】高齢者見守りサービスおすすめランキング

さくら

配食や見守りなど外部のサービスも上手に取り入れて、離れていても家族だけで抱え込まない仕組みをつくっておきましょう。

在宅介護が難しくなったら施設も検討して介護を一人で抱え込まない

在宅介護を続けることが難しくなったら、施設への入所も選択肢のひとつです。家族だけで無理をして介護を続ける必要はありません。

親の「できるだけ自宅で暮らしたい」という希望をかなえたいと思っていても、介護が必要な状態は少しずつ変化していきます。

たとえば、仕事との両立が難しくなったり、夜間の介護で十分に休めない、自宅で親の安全を守ることが難しくなるなど、在宅介護を続けるのが難しくなることもあります。

一人っ子の場合は、介護を代わってもらえるきょうだいがいません。「自分がやるしかない」と無理を重ねる前に、今の生活を続けられるのかを考えることも大切です。

介護保険サービスを利用しても在宅での生活が難しくなってきたときは、ケアマネジャーなどに相談しながら、施設への入所も含めて今後の暮らしを考えていきましょう。

「親を施設に入れることに罪悪感がある」「この判断でよかったのだろうか」と迷う方は、こちらの記事も参考にしてください。
親を施設に入所、罪悪感と向き合うためには

さくら

施設を検討することは、親を見放すことではありません。親の安全と自分の生活を守るための選択肢のひとつです。

親の介護が始まっても、すぐに仕事を辞める必要はありません。

介護休業などの制度を利用し、職場にも早めに相談して、仕事と介護を両立できる体制を整えることが大切です。

とくに一人っ子の場合は、介護を代わってもらえるきょうだいがいないため、「自分が仕事を休まなければ」「仕事を辞めるしかない」と考えてしまうこともあります。

さくら

介護はいつまで続くのか予測しにくいものです。仕事を辞めると決める前に、まずは利用できる制度や職場の支援を確認してみてくださいね。

介護離職を防ぐための2つの方法
  • 介護休業や介護休暇を利用する
  • 職場に早めに相談する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

介護休業や介護休暇を利用して仕事を辞めずに介護体制を整える

親の介護が必要になったときは、介護休業や介護休暇を利用し、仕事を続けながら介護できる体制を整えましょう。

厚生労働省では、介護休業を自分が介護に専念する期間ではなく、仕事と介護を両立できる体制を整えるための準備期間として捉えるよう案内しています。

たとえば、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談する。介護サービスを手配するなど、仕事に戻ったあとも介護を続けられる仕組みを整えるために活用しましょう。

介護休業と介護休暇の主な違い

介護休業介護休暇
主な使い方仕事と介護を両立する体制を整える通院の付き添いや介護サービスの手続きなど
期間・日数対象家族1人につき通算93日まで1人なら年5日、2人以上なら年10日
取得方法対象家族1人につき3回まで分割できる1日または時間単位で取得できる

出典:厚生労働省「介護休業」「介護休暇」

一人っ子でも、両親それぞれに介護が必要になった場合、介護休業は対象家族1人につき取得できるとされています。

また、一定の要件を満たせば、介護休業中に雇用保険から介護休業給付金を受けられる場合があります。

制度を利用できる条件などは個人によって異なるため、実際に利用するときは勤務先の担当部署にも確認しておきましょう。

さくら

「自分が介護するために仕事を休む」だけではなく、仕事に戻ったあとも続けられる介護の仕組みを整える期間として考えてみてくださいね。

職場に早めに相談して仕事と介護を両立しやすくする

親の介護が必要になりそうだと感じたら、本格的に介護が始まる前から職場に相談しておきましょう。

私が働くなかで感じるのは、子育てのための時短勤務などは利用する方が増えてきた一方、介護休業や介護休暇については、まだ十分に知られていないということです。

実際に、介護をしている雇用者のうち、介護休業等制度を利用している人は11.6%、そのうち介護休業制度を利用している人は1.6%でした。
出典:総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」第212表

親の介護がそろそろ必要かもしれないと感じたら、早めに職場へ状況を伝えておくことも大切です。

「高齢の親がいて、これから介護が必要になるかもしれない」と共有しておけば、いざというときに利用できる制度や職場の相談先を確認しやすくなります。

さくら

介護が始まってから一人で調整するのではなく、職場にも早めに状況を共有しておくことが、仕事を続けるための備えになります。

一人っ子でも親の介護だけでなく自分の人生を大切にしていい

一人っ子だからといって、親の介護のために自分の人生をすべて後回しにする必要はありません。

親の介護が始まる頃は、子育てが一段落した方も多いのではないでしょうか?

仕事やこれからの暮らしについて考えるなど、自分の人生にも変化が訪れる時期です。

そんなときに親の介護が始まり、仕事や家事に追われると、「これから楽しみにしていた自分の時間はどうなるの?」と不安になることもあるでしょう。

さくら

大切な親だからこそ、できることはしてあげたいですよね。でも、自分の時間や生活も同じように大切にしていいんです。

介護を誰かに任せる時間をつくって自分の時間も守る

介護を続けるためには、親のことを誰かに任せ、自分のために使う時間をつくることも大切です。

介護が始まったばかりの頃は、「親の介護は自分しかできない。私が頑張らなきゃ」と、一人で背負い込んでしまうことがあります。

頑張り続けて疲れがたまると、「親にやさしくできない」「ついイライラして当たってしまう」と、自分を責めてしまうこともあるでしょう。

そんなときは、自分にも休む時間が必要になっているサインかもしれません。

私は看護師として働くなかで、介護を優先するあまり、自分の時間を持てなくなっているご家族にも出会ってきました。

介護を手放したわけではありません。任せられるところを任せて、自分の時間を少しだけ取り戻されたのです。

さくら

介護から離れて心と体を休める時間も、自分の生活を守りながら介護を続けるために大切にしてくださいね。

自分の健康を後回しにせず自分自身の暮らしも守る

親の介護を優先するあまり、自分の体調や受診を後回しにしないことも大切です。

「最近、少し調子が悪い」「健診で精密検査を勧められた」。そう気づいていても、仕事が忙しく、週末には離れて暮らす親の様子を見に行かなければならない。

親と同居していれば、仕事から帰ったあとにも介護が待っています。

医療現場では、自分のことを後回しにしてぎりぎりまで我慢し、症状が悪化してから受診する方に、何度も出会ってきました。

入院治療が必要な状態でも、「親の介護があるので、入院を先に延ばせませんか」と相談されることもあります。

親を心配する気持ちはよくわかります。しかし、介護する自分の健康まで損なってしまえば、これまでと同じように親を支えることも難しくなります。

自分の受診や健診、治療も後回しにせず、自分自身の健康を守ることも介護を続けるために大切です。

一人っ子親の介護でよくある質問

一人っ子で親と遠方に住んでいても介護できますか?

はい、遠方に住んでいても、介護サービスや周囲の力を借りながら親を支えることはできます。

遠距離介護では、何かあるたびに自分が帰省して対応しようとすると、仕事や生活への負担が大きくなります。

離れていても「自分一人で対応しなくてよい仕組み」をつくっておくことが、遠距離介護を続けるポイントです。

具体的な方法は、本文の「一人っ子が親の介護の負担を減らす方法5つ」で紹介しています。

一人っ子で親の介護に使えるお金がない場合はどうすればいいですか?

まずは、親の年金や預貯金など、介護に使えるお金を確認しましょう。

介護が始まると、「自分が介護費用を負担しなければ」と不安になるかもしれません。とくに一人っ子は、きょうだいと費用を分担できないため、お金の心配も大きくなりやすいでしょう。

介護保険サービスには所得などに応じた負担軽減制度もあります。費用に不安がある場合は、地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当窓口などに相談してください。

親のお金をどこまで確認しておけばよいかは、本文の「親の収入と介護に使えるお金を確認して費用の見通しを立てる」で詳しく紹介しています。

一人っ子でも仕事を続けながら親の介護はできますか?

介護休業や介護休暇などの制度を利用し、介護を一人で抱え込まない体制を整えることで、仕事を続けながら親を支えることは可能です。

親の介護が始まると、急な受診や入院、介護サービスの手続きなどで仕事を休まなければならない場面も出てきます。

「自分しかいないから仕事を辞めるしかない」と決める前に、利用できる制度を確認し、職場にも早めに相談しておきましょう。

仕事と介護を両立するポイントは、本文の「一人っ子が親の介護で介護離職を防ぐ2つのポイント」で詳しく紹介しています。

一人っ子で「親の介護をしたくない・放棄したい」と思うほどつらいときはどうすればいいですか?

「もう介護したくない」「すべて放棄したい」と思うほどつらいときは、一人で抱え込まず、まず誰かに相談してください。

一人っ子だから「自分がやるしかない」と頑張り続けていると、心や体の余裕がなくなり、親にやさしくできない自分を責めてしまうこともあります。

そんなときは、自分だけで介護を続ける方法を考えるのではなく、地域包括支援センターやケアマネジャーなどに今の状況を伝え、自分が担っている介護を減らせないか一緒に考えてもらいましょう。

介護サービスや周囲の力を借りることも、親と自分の暮らしを守る方法のひとつです。

まとめ|一人っ子でも親の介護を一人で背負わなくていい


一人っ子だからといって、親の介護をすべて自分で背負う必要はありません。


介護はいつ始まるか分かりません。仕事や家庭を抱えたまま一人で対応しようとすると、時間もお金も心も、少しずつ削られていきます。

だからこそ、早めに備え、自分以外に頼れる仕組みをつくっておくことが大切です。

一人っ子で親の介護を背負わなくていい方法
  • 介護が必要になる前から、親の暮らしやお金について話しておく
  • 地域包括支援センターやケアマネジャーに相談する
  • 介護サービスや民間サービスを利用して、自分の負担と介護にかける時間を減らす
  • 介護休業や介護休暇を活用し、仕事を辞めずに介護体制を整える


親を大切に思う気持ちと同じくらい、介護するあなた自身の時間や健康、これからの人生も大切です。

頼れる人や制度に頼りながら、あなたの時間とこれからの暮らしも大切にしてください。

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