こんにちは看護師歴30年のさくらです。
親の老いと向き合いながら、50代の今を大切に暮らしています。
このブログでは、看護師としての経験から日々寄せられるご家族の相談ごとや、同じ立場の方に役立つ情報をお届けしています。
前回の記事では、「地域密着型サービス」についてわかりやすく解説しました。
今回のこの記事では「介護保険でできる福祉用具貸与」「特定福祉用具販売」についてわかりやすくお伝えしていきます。
たとえば——
親御さんが転んで腰を圧迫骨折。
お布団で寝ているけれど、毎日のお布団の上げ下ろしがつらい……。
「こういうとき、介護ベッドってレンタルできるのかな?」
そんなふうに感じたことはありませんか?

介護サービスの種類と選び方3話は、「ベッドなどのレンタル品や購入できる福祉用具」について、
わかりやすく解説していきます。
介護は突然やってくるもの。
でも、少しでも準備をしておくことで、心に余裕が生まれます。
みなさんの不安がやわらぎ、親御さんの介護が安心して始められますように。
そんな願いを込めて、お届けします。
一緒に乗り越えていきましょう。
介護保険で利用できる介護用品(福祉用具サービス)
介護保険には、親御さんが**住み慣れたおうちで安全・快適に過ごせるように支援する「福祉用具サービス」**があります。
「福祉用具」とは、たとえば車いすや介護ベッド、手すりなど介護を助けてくれる道具のこと。
これらを利用することで、ご本人の生活が楽になるだけでなく、ご家族の介護の負担も軽くなります。
福祉用具は、すべてを購入する必要はありません。
介護保険を使ってレンタルしたり、一部は購入という形で利用できます。
費用の自己負担は、原則1割(所得によっては2割または3割)。
負担を抑えながら、必要な道具をそろえることができます。
介護保険で借りられる福祉用具(福祉用具の貸与)

「何が借りられるの?」と気になりますよね。
実は、対象になっている福祉用具は13品目と決まっていて、大きく2つのグループに分けられます。順番に説明していきますね。
要支援の方から利用できるもの(要支援〜要介護5)
- 手すり(工事不要で置くだけのタイプ)
- 歩行器
- 歩行補助杖
- スロープ(段差を解消する置き型の板)
- 自動排泄処理装置(※尿のみ対応)
要介護2以上の方が利用できるもの(要介護2〜要介護5)
- 特殊寝台(介護用ベッド)
- 寝台付属品(マットやサイドレールなど)
- 車いす(自走式・電動式・介助用など)
- 車いす付属品(座面クッションなど)
- 床ずれ防止用具(エアマットなど)
- 体位変換器(寝返りをサポートする道具)
- 移動用リフト
- 認知症老人徘徊感知機器
どうやって借りるの?福祉用具レンタルの手続き手順

「レンタルサービスを利用したいけど、手続き方法は?」と気になりますよね。
引き続き、わかりやすく説明していきます。
相談する
ケアマネジャーさんが、必要な介護用品を含めたケアプラン(介護サービス計画)を作ってくれます。
事業者・商品選び
ケアマネジャーさんが福祉用具貸与事業者(レンタル業者)を紹介してくれます。
福祉用具専門相談員が自宅を訪問し、体の状態や生活環境に合った用品を提案してくれます。
試用・納品
実際に使う前に、お試し(デモ品)を貸してくれる場合もあります。
商品が決まったら、事業者が自宅に届けて設置や使い方の説明をしてくれます。
契約・レンタル開始
利用する用品が決まったら、事業者と契約します。
契約後、レンタルがスタートします。
利用中のサポートについて
定期的に専門相談員が点検やメンテナンスに来てくれます。
必要があれば用品の変更もできます。
レンタルのメリット
- 購入より経済的
- 体の状態に合わせて交換可能
- 定期的にメンテナンスしてくれるので安心
- 必要がなくなったら返品できる
●「親の介護が始まったけど、何を用意すればいいの?」
そんな時、このレンタル制度を知っておくと心強いですね!
👉厚生労働省 介護事情所・生活関連情報検索
(公表されている介護サービス**福祉用具貸与**についての最新情報はこちらから確認できます。)https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group21.html
介護保険で利用できる購入サービス(特定福祉用具販売)

「購入サービスってなにが買えるの?」「レンタルと購入、どっちが正解?」
そんな疑問をお持ちの方も多いと思います。
さっそく詳しくお伝えしていきますね。
購入サービス(特定福祉用具販売)とは?
このサービスは、特定の福祉用具を購入する際に、介護保険から補助を受けられる制度です。
たとえば「他の人が使ったものはちょっと…」というような、肌に触れる個人使用のものや消耗品に近いものなどを対象に、市から費用の一部が補助されるイメージです。
補助内容の概要
- 年間上限:10万円までが対象(要介護度に関係なく一律)
- 自己負担:原則1割(所得に応じて2~3割)
- 支払い方法:いったん全額を立て替えて支払い、後日給付される「償還払い」
対象となる9品目(2024年現在)
- 腰掛便座(ポータブルトイレ・便座の高さ調節機能など)
- 自動排泄処理装置の交換可能部品(尿・便が通るチューブなど)
- 入浴補助用具(入浴用いす、浴槽内いす、浴槽用手すりなど)
- 簡易浴槽(空気式・折りたたみ式など、工事不要のもの)
- 移動用リフトのつり具部分(肌に直接触れる部分)
- 排泄予測支援機器(排尿のタイミングを予測してお知らせしてくれる機器)
👉厚生労働省 介護事情所・生活関連情報検索
(公表されている介護サービスについて**特定福祉用具販売**の最新情報はこちらから確認できます。)https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group22.html
レンタル?購入?迷ったときの選び方
視点 | レンタルがおすすめ | 購入がおすすめ |
使用期間 | 短期間・体の変化が見込まれるとき | 長期間使い続ける見込みがあるとき |
衛生面 | 気にならない場合 | 肌に触れるもの、衛生的に気になるもの |
費用面 | 高価な用具を試したいとき | 長期間でレンタル費がかさみそうなとき |

福祉用具のレンタル・購入は、介護を支えるうえでとても重要な選択肢です。
介護保険制度を活用すれば、必要な用具を費用負担を抑えて利用できます。
用途や期間、衛生面、費用などを比較して選ぶことで、より安心・快適な介護生活につながります。
たとえば、介護ベッドや手すりなどは「福祉用具貸与」、ポータブルトイレや入浴補助具などは「特定福祉用具販売」として利用可能です。選択に迷うときは、ケアマネジャーや専門相談員と一緒に検討するのが安心です。
迷ったときこそ、正しい情報をもとに冷静に判断することが大切です。
親御さんの安全で快適な生活を支えるために、制度を上手に活用していきましょう。
「居宅サービス」「地域密着型サービス」については、以下の記事で詳しく紹介していますので、よかったら参考にしてくださいね。
▶詳しくは**【初心者でも安心!】介護サービスの種類と選び方①**

▶詳しくは**【初心者でも安心!】介護サービスの種類と選び方②**

合わせて読みたい:病院での事例紹介
先日、70代半ばの女性Aさんが、股関節の手術のため入院予定となり、病院へ手続きに来られました。
ご主人は80代。おふたりで暮らしていらっしゃいます。
ご主人には脳梗塞の既往があり、現在は片麻痺のため、Aさんの支援がなければ生活が難しい状況です。
Aさんの入院期間は、およそ2〜3週間と主治医から説明を受けておられました。
こうした場合、「自分が入院している間、夫の介護はどうしよう…」という不安を感じる方も多いものです。
今回は、Aさんの普段のご主人への支援の様子から、ケアマネジャーさんが必要性を判断し、介護保険の申請を勧めてくださいました。
すでに申請と調査が行われ、「要支援2」の認定を受けていました。
その後、Aさんが退院後の生活に困らないように、ベッドレンタルの手続きもあらかじめ済ませていたため、退院後すぐに使用できる体制が整っていました。
また、ご主人の生活状況をふまえて、ケアマネジャーさんがショートステイの手続きも進めてくださったことで、Aさんも安心して入院できる体制が整いました。
このように、「もしものときに備える」ことの大切さを感じさせてくれる実例ですね。
あなたとご家族が、これからも安心して過ごしていけるように――
一緒に少しずつ、準備していきましょう。
次回予告
●次回予告 ちょっとひと息、心がほっとする和菓子のお話です。
介護のお話は少しお休みして、次回は「親への贈り物」シリーズ。
次回記事のタイトルは
【親への贈り物】母が喜んだ!きよ泉の最中|甘さ控えめで上品な和菓子。
実際に母がとても喜んだ贈り物をご紹介します。
ご両親へのプレゼントや、帰省時のお土産選びのヒントにしていただけたら嬉しいです。
どうぞ、楽しみにお待ちください。
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